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第4戦レポート:大注目の最終レース

過去最高の集客となった大盛り上がりの最終戦

Red Bull Crashed Ice最終戦となる第4戦が、カナダのエドモントンで開催された。

この地での開催は2015年以来、3年ぶり。地元ニュースによると、前回の観客数はパブリックエリアを含めると約7万人で、エドモントンの単発スポーツイベントでは過去最高の集客数だったという。

同大会の出場選手は、カナダ人が最多。そのうえ今季は男子がスコット・クロクソール(カナダ)、女子がジャクリーン・レジェール(カナダ)ともに、年間総合優勝に王手をかけて凱旋した。ウィンタースポーツを愛するカナダのファンが、今年も全国から大集結し、アイスクロス・ダウンヒル最高峰の戦いを楽しんだ。

舞台が設置されたのは、凍ったノース サスカチュワン川を見下ろすルイーズ・マッキンニー・リバーフロント・パーク。

Photo:Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool

高低差40メートルの全長455メートルのトラックは、2015年大会時より40メートル長く、難易度も更にアップ。スタートからのドロップ、迫力の大ジャンプが見られるビッグエア、180度ターンのトランザクション・コーナー、ステップアップとステップダウン、上下に加速していくローラー、左右にうねる連続カーブの「Nセクション」と、あらゆる技術が試される"集大成"のようなトラックとなった。

Photo:Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool

電撃参戦、安床ブラザーズはフリースタイルで喝采!

今大会では、インラインスケートの世界王者として知られる安床栄人(エイト・兄)、武士(たけし・弟)の「安床ブラザーズ」も緊急参戦を果たした。

選手たちの間でも有名な「世界の安床ブラザーズ」は、皆から大歓迎されると、スコットはじめとするトップ選手から大会前にも声をかけられ、すぐに合同練習にも参加。

同大会の直前は、カナダのラ・サールで3月3日に開催されたライダーズカップに出場すると、栄人が79位、武士は56位で実戦デビューを無事完走。このエドモントン大会では、本戦だけでなくフリースタイルにも出場した。

それぞれインラインスケートの世界大会で100を超えるメダルを有する安床ブラザーズだが、実はアイススケートは初心者で、人生でも数えるほどしか滑ったことがなかったという(!)。

「足元の感覚がまったく違うので、ブレーキのかけ方から練習中です」と苦笑いした安床ブラザーズだったが、大会初日の予選を見事突破。本戦の参加権であるトップ64入りを果たした。しかしながら、本戦当日は氷のコンディションが整わず、急遽トップ32のみで決戦が行われる決定が下され、本戦で滑ることは叶わなかった。

ただし、安床ブラザーズは大会初日のフリースタイルで、現地ファンを魅了した。

武士が高いジャンプで「フライング・フィッシュ・グラブ360」を決めると、会場からは「ワオ!」「なんてジャンプだ!」といった興奮の歓声があちこちから上がった。また、武士以上にスケート靴の感覚に苦労していた栄人は、「ロケット・グラブ360」を披露。慣れない氷上で着地はならなかったが、大観衆の前で「攻めの滑り」を貫き、背中を痛めるハプニングに見舞われながらも、痛み止めを飲みながらレース参戦を続けた。

 

レギュラー参戦の山本は10位入賞

日本人パイオニアの山本純子は、予選を11位で突破。

昨季のカナダ大会では4位入賞を果たしたことから、「今大会こそは表彰台を目指したい」と挑んだが、本戦のラウンド・オブ・16ではスタート直後の転倒が響き、悪化した氷のコンディションで苦戦を強いられ、巻き返しはならなかった。

結果、エドモントン大会は10位入賞、シーズンの世界ランキングも10位で終えた。山本は、「安床兄弟も参戦して、日本チームとしての広がりができた」とさらなるレベルアップを誓い、来季に目を見据えた。

 

【男子決勝】スコットが年間タイトル獲得

◆マルセイユの大会ハイライト映像(英語音声)はこちら>>

シーズンフィナーレの最終戦は、総合優勝の年間タイトルも確定する。男子は、直前のラ・サールでのライダーズカップで、それぞれポイントを獲得。総合ランキングは、1位がスコット・クロクソール(カナダ)の2745ポイント、2位がキャメロン・ナーズ(アメリカ)の2350ポイント、3位がマルコ・ダラーゴ(オーストリア)の2325ポイントとトップ3選手が総合優勝争いでも混戦模様で突入した。

母国で総合優勝を狙うスコット、シーズン2連覇中のナーズ、2014年以来4年ぶりのタイトル獲得を目指すマルコ、そして総合4位でラ・サールでも優勝したスコットの兄カイル・クロクソールの4選手による準決勝は、事実上の"決勝戦"に。会場のボルテージも最高潮に達すると、スタート直後から激しいトップ争いが繰り広げられた。

最初のドロップで飛び出したのは、スコットとカイルのクロクソール兄弟。ところが、ビッグエアのジャンプでマルコとナーズが抜け出す。あっという間に逆転した順位は、次の180度ターンのトランザクション・コーナーで、抜け出したナーズの背後から、マルコが制御不能でクラッシュするかたちで両者ともに転倒。その間を、スコットとカイルがすり抜けると、最後までパワフルにミスなく疾走。1位スコット、2位カイルと、クロクソール兄弟が決勝進出を決めると、この瞬間、スコットの総合優勝が確定した。

Photo:Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool

 

◆男子決勝の映像(英語音声)はこちら>>

2015年以来のタイトル獲得となったスコットは、その2015年大会では決勝レースでナーズに惜敗している。「借りを返した」勝利と、母国での総合優勝決定に「言葉が見つからないほど嬉しい。また、兄も一緒に決勝のレースに出られて幸せです」と直後のインタビューで語った。

Photo:Joerg Mitter / Red Bull Content Pool

決勝レースは、クロクソール兄弟に加えて、マルコの弟ルカ・デラーゴ(オーストリア)、そのルカをシーズンランキングは94ポイント差で追うマクスウェル・ダン(アメリカ)の4選手で行われた。すると、今度は例のトランザクション・コーナーでスコットがライン取り争いに敗れるかたちで転倒。兄カイルを巻き込むと、その間にルカが抜け出し、最後まで追いすがるダンを振り切ってエドモントン大会の優勝に輝いた。結果、同大会の順位はルカが優勝、ダンが準優勝、3位がカイル、4位スコットに終わった。

Photo:Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool 

 

【女子決勝】トルンゾが初女王に輝く!

◆女子決勝の映像(英語音声)はこちら>>

女子は、シーズン2連覇中で母国優勝を狙うジャクリーン・レジェール(カナダ)と今季はトップを快走してきたアマンダ・トルンゾ(アメリカ)が準決勝で激突。アマンダがトップ、レジェールが2位につけたものの、ゴール直前のトリッキーに尖った急坂のヒルトップで、レジェールが痛恨の転倒。これでレジェールの準決勝敗退が決まり、トルンゾの総合優勝が決まった。

Photo:Mark Roe / Red Bull Content Pool

決勝レースでもトルンゾは快走をみせてトップを死守。準優勝がイレーヌ・トポルニスキー(カナダ)、3位にサンドリーヌ・ランジェオン(フランス)、4位 アナイス・モランド(スイス)だった。

 

Red Bull Crashed Iceついに日本上陸へ?

母国カナダで総合優勝を遂げたスコット、初女王に就いたアマンダと今季も劇的なレースは劇的にエンディングを迎えた。今季最後のエピローグは、来季開幕へのプロローグ。次なる戦いでは、どんな激闘が繰り広げられるのか。

今シーズンは、第2戦のユヴァスキュラ大会に福岡沙織選手が出場。そして。この最終第4戦には、あの安床ブラザーズが参戦した。日本人アスリートは着実に増え、人気も高まりつつある。Red Bull Crashed Iceの日本上陸も現実味を帯びてきた。

(Report by 松山ようこ)